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爆発燃焼排気。
発動炉のスリットから魔炎を噴き、エイジのパートナーデジモンは吠えた。
「これがルガモンの完全体……!」
姿ばかりではない。
仮想モニタにデータ諸元が表示される。
――ソルガルモン 完全体 魔獣型 ウィルス種
ケタ違いのスペックだ。処理速度、出力、ポテンシャル……。
「エイジ……思いだしたぜ、おれは……」
「ソルガルモン!」
「そう、おれはソルガルモン! この〝ヴァナルガンド〟で――」
ソルガルモンは得物――工具のスパナにも似たロングメイスを構えた。
2体のハイコマンドラモンをにらみすえる。
「すべて燃やし! すべて解体(バラ)す!」
彼らに聞こえたのは魔炎の発動炉が甲高くうなる音だけ。
ハイコマンドラモンの警官たちは、まったく反応できなかった。
ボゴッ!
衝撃が、ハイコマンドラモンのシールドを凹ませた。
さらに先端が二股になったロングメイスから赫い炎が噴きだす。
ォオオオオオオオオン…………!
狼の遠吠えのごとき音を残して。
――〝イラプションハウリング〟!
炎が収束、ガスバーナー状のブレードとなりハイコマンドラモンのシールドを熔解切断、たちまち解体してしまった。
――ロングメイス〝ヴァナルガンド〟!
バトンのように武器を回転させて握り直すと、ソルガルモンは敵と対峙した。
2体のハイコマンドラモンはたじろいだ。
魔炎を防いだシールドが段ボール紙同然だ。
それでも彼らは警官――訓練されたプロだった。すぐに立て直してフォーメーションをチェンジする。
リボルバー・グレネードの集中砲撃。
チャンバーに装填された6発、それぞれが全弾を撃ちこんだ。四方を更地にするほどの集中火力。ソルガルモンの姿は榴弾の爆発のなかに消えた。
ボボボボボボボボボッ…………!
立ちこめていたグレネード弾の砲煙が、排気風で吹き飛ばされた。
両肩の発動炉を全開にしたソルガルモンが現れた。オーラのごとき魔炎のシールドを全身にまとって。
「無傷」
ニヤッと笑い、ソルガルモンがいばった。
ハイコマンドラモンたちはたじろいだ。
「ってほどでもないだろ、さすがに……ダメージ喰らってるぞ」
エイジはツールをチェックしてツッコミを入れた。
「だまっとけ……! いいんだよ、ああいうプロっぽいのは心を折らないと……しつこいんだ」
完全体になったが、ソルガルモンの声色と口調はあまりかわらない。
カスリ傷ひとつないもんねー、という体を保つとソルガルモンは〝ヴァナルガンド〟を構えた。
発動炉で、渦巻く魔炎が吠える。
ハイコマンドラモンたちは電磁警棒で迎え撃つ。
「全開で、燃えるぜ……!」
「あっちもマインドリンカーだ。デジコアは壊すな、ソルガルモン!」
もし警察官をDMIAにしたら、エイジのリアルの人生はおしまいだ。
「あいつらならギリギリ死にはしないだろ、タフそうだし」
爆発燃焼排気。
ソルガルモンは予備動作もなく地面をすべり突進、その勢いのまま〝ヴァナルガンド〟で打ちかかった。
――〝スコルレイジ〟!
ウォールゲート上空。
苛烈な戦闘のさなか、獣竜の究極体を駆るふたりは、眼下に見たまばゆい進化の光に声をもらした。
いま、まさにデジ対の2体のハイコマンドラモンがロングメイスの一撃で膝を屈し、戦闘能力を喪失した。
ユーリンの部下だ。直々に訓練してきたマインドリンカーがクラッカーに倒された。
警察にとって、とてつもない屈辱であり失態。
ハイコマンドラモンの2体をしりぞけたのは狼人間のような、見なれない完全体デジモンだ。だが、そのひたいには旧式インターフェースがある。
「あれは……ナガスミ・エイジなの!?」
ユーリンは目を疑った。
「完全体ソルガルモン! ついに……エイジ! すばらしい……!」
コースケは一瞬、確かにユーリンとの戦いを忘れた。
ナガスミ・エイジは、このとき完全体とマインドリンクを果たしたS級クラッカーとなった。
まさに、それこそが――
ドルゴラモンから感じる意識が明らかに自分からそれたのを感じて、ユーリンは声を上げる。
「あなたと戦っているのは、私よ……!」
「もちろんだよ〝三叉路の魔女〟」
ドルゴラモンは悠然とむきなおった。
ユーリンが感じたのは……不気味なほどの余裕。
「――きみをないがしろにするつもりはなかった、ユーリン。いいや、これで……きみときみのパートナーがますます必要不可欠になった。結局……きみもまたそうした存在なんだよ」
「…………? なにを……」
「これで」
クラッカー・タルタロス――その化身であるドルゴラモンは両腕を広げてネットワークの海をあおぐ。
――データ、ワクチン、そしてウィルス。
「完全体のスペックを有するプロトタイプデジモンが3体、3属性そろった」
コースケの声は恍惚としていた。
ユーリンはとまどう。
彼女が知る象潟講介という男は、ズボラだがストイックでもあり、うぬぼれや他者をマウントするような態度とは無縁の人間だったから。
データ、ワクチン、そしてウィルス。
ナガスミ・エイジは、ウィルス種のプロトタイプデジモンを龍泉寺教授から託された。
「……なにをたくらんでいるの、クラッカー・タルタロス!」
「たくらんでなどいない。〝続き〟を語るだけだ、おれたちの物語の」
「!?」
「これはオペレーション・タルタロス。私たちの〝物語〟の続きだ」
大学生時代。あの〝タルタロス計画〟での失敗から……サヤと黒いアグモンの喪失から、象潟講介と徐月鈴、そして龍泉寺沙耶の物語は続いていた。
〝時〟はつながったまま。
永遠に続く昨日と今日を繰りかえしながら。
髪には白いものがまざりはじめ、顔にはシミと皺が増えたとしても。
年老いて、時間を浪費して、心はとどまり時間のループにはまったまま、ふたりの人生は、いつもサヤがいた〝あのとき〟に引きもどされる。
どれほどクラッカーとして名声を高めても。
伝説とたたえられようと。
満たされることのなかった象潟講介という男の渇ききった器に、いまポタリ、ポタリとしたたり落ちてくるものがある。
希望という滴。
それが探し求めた聖杯の一滴でも、生け贄の血の一滴だとしても。
象潟講介はタルタロスの名において、どんな物語の結末も受けいれるときめた。
覚悟だ。
「サヤから目をそむけたきみとは違うんだ、ユーリン」
コースケは、あえてという感じでユーリンの過去と心をえぐる。
「…………!」
「責めているわけじゃない。きみが苦しみぬいたことは知っている。だからこそサヤから目をそむけなければ、きみは生きられなかったことも。クラッカーではなく警察官として、サヤのようなDMIAを出さぬために日々、きみの能力とはつりあわない公務員の給料で働くことで……代償行為か」
「知ったようなことを言わないで……!」
「きみの最大の理解者は、信頼する部下でも龍泉寺教授でもなく、私だと思うんだがな。まぁいい……今日〝三叉路の魔女〟の物語にもひとつのエンドマークが打たれるだろう」
〝物語〟とは……。
彼が口にした登場人物は、自身であるクラッカー・タルタロス、ユーリン、サヤ、龍泉寺教授、そしてナガスミ・エイジ。
ナガスミ・エイジだけは龍泉寺電子工業とタルタロス計画の関係者ではない。あのころ彼はまだ生まれてもいなかった。
では、なぜナガスミ・エイジがここにいるのか。コースケは……彼らを待っていた。
プロトタイプデジモンが3種3体……。
「私……いいえ、オウリュウモンが必要……?」
ユーリンは嫌な予感がした。
いま、自分たちがこのウォールゲートにいることが最大のリスク……?
「〝三叉路の魔女〟は勘がよすぎる。だから予言しよう……きみは私を倒せない。絶対にだ」
オウリュウモンはドルゴラモンには勝てない、と。
「なっ……?」
血迷ったのか。オウリュウモンとドルゴラモンの戦闘は、ここまでまったくの互角だ。
「不服そうだな。なるほど、きみはだれよりも優秀で、しかも場数を踏んできた。パートナーとのDS値、マインドリンク持続時間は私さえしのぐかもしれない。だが……そういうことじゃないんだよ」
「あなたの言葉には、付きあってられない!」
敵意をあらわに、オウリュウモンが吠える。
「〝三叉路の魔女〟に呪いの言葉をかけよう。ユーリン、私は……〝サヤを助ける〟」
ドルゴラモンが咆哮する。
銀灰色の獣竜は全身にパワーをみなぎらせた。
「サヤを助ける……? いったい、どうやって」
それがわからないからユーリンもコースケも、龍泉寺教授も……みな苦しんだ。苦しんできた。
「捜すさ、デジタルワールドの奈落で。だからこれはオペレーション・タルタロス」
「…………!」
主導権はいまや完全にコースケにあった。
「ドルモンが……私のパートナーデジモンが教えてくれた。〝深層〟――さらに古いデータ領域には〝聖杯〟があると」
「〝聖杯〟……!?」
「デジタルワールドの〝聖遺物〟……おとぎ話さ。見つけてみせる……ぉおおおおおおおっ! こい、ドルゴラモン!」
バリバリバリバリッ――
覇気。
ドルゴラモンは鈍い銀色のオーラをまとう。
究極体、対、究極体。
たがいに研ぎ澄まされた存在である以上、勝負は無用に長引くことはない。
「オウリュウモン!」
〝鎧龍左大刃〟
〝鎧龍右大刃〟
両手の二刀を構えると、オウリュウモンは鋭い金色のオーラをまとった。
「おいおい……警官が、殺す気でいいのか」
「職務上、やむを得ないときは制圧する。あなたは週末のショッピングモールで拳銃を乱射する異常者よ」
「私が……? いったいなにをした。銀行の金庫をあけたこともなければ飛行機を墜としたこともない」
「それでもあなたは犯罪者――クラッカーの象徴なの!」
オウリュウモンが左右の刃を交差させた。
――〝永世竜王刃(えいせいりゅうおうじん)〟!
盤上を縦横無尽に蹂躙する将棋の〝竜王〟のごとく。オウリュウモンは突進、二刀流の斬撃がドルゴラモンをねらう。
ザクリ、と。
オウリュウモンの双刀が牙となってドルゴラモンの首に喰らいつく。
絶叫。
銀の獣竜は悲鳴を上げた。
――私は〝サヤを助ける〟
「…………!?」
呪いの言葉。
ドルゴラモンのデジコアからひびいた声に、勝利を確信したユーリンは虚を突かれた。
「言ったはずだユーリン……絶対に、きみは私を倒せないと。オウリュウモンがドルゴラモンを倒せたとしてもだ」
殺せない。
警察官だから? いいや、そうではなく――
「くっ……!」
「私が死ねばサヤは助からないからだ。私が死ねばサヤは悲しむからだ。私がいなくては、サヤを助けるすべはないからだ」
ドルゴラモンの瞳に、ふたたび強い精気が宿る。
首に食いこんだかに見えた〝永世竜王刃〟の刃がはがされた。
ドルゴラモンは両手でオウリュウモンの両腕をつかむと、圧倒的なパワーで押しかえしていく。
傷は浅い。
致命の一撃が届いていない。
「――どこまでもサヤのことを思ってくれる、やさしいユーリンに勝ち目はないんだ。きみはサヤのためにここに来た。サヤを助けるため……たとえ知らなくてもだ!」
「コースケ……くっ」
「きみの最大の理解者は私だと言ったはずだ」
ドゴッッ!
強烈な前蹴りがオウリュウモンをのけ反らせた。
オウリュウモンは一瞬、昏倒する。
この機を逃すことなく。
ドルゴラモンは空を蹴り、破壊のエネルギーと化して突進した。
――〝ブレイブメタル〟!
キャラクターデザイン・挿絵イラストレーター:malo