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レオン・アレクサンダーは東京電脳大学の学生だ。国籍はアメリカ、歳はエイジとおなじ19歳。
「久しぶりすぎるな、レオっち!」
「うん。またエイジと会えてうれしいよ」
レオンの日本語はネイティブといっていい。
「小学校以来か」
「うん。ぼくは中学に入ってすぐに、アメリカに帰国したんだ」
レオンはにこやかに応じた。
「そっか……親父さん、電脳大の先生だったっけな」
「よく覚えてるね」
「つか、でかくなったな……! 小学生のときは、おれのほうがでかいくらいだったのに」
上背もだが体の厚みが増していた。ジムとか、なにかスポーツをしているのだろう。
「立ち話もなんだし、座って話そう」
受付でパスを発給、エイジたちはゲートをくぐってDDL内のカフェに移動した。
カフェはDDLではセキュリティレベルが低いエリアで、D4区画よりはるかに開放的だ。
飲み物を買って、席につく。
「レオっち……あー、ええと」
「レオっちでいいよ。そう呼ぶの、きみだけだったからね」
幼なじみは屈託なく笑った。
エイジは思いだそうとする。
といって小学生以前の記憶なんて、もう定かではないのだが……。
レオンは話のネタにと、なにかを取りだした。
キーチェーン型のデジモンドック。
画面は小さなモノクロ液晶、数世代前のタイプだ。
「ああ、そのドック! おれ、ゲーム機だと思ってた!」
そのキーチェーン型ドックで、レオンはデジモンを育成していた。もう7、8年も前のことだ。
「ぼくも当時は、デジタルワールドのこととか、よくわかってなかった。ただ夢中でデジモンを育成していたな」
レオンも懐かしそうにする。
キーチェーン型ドックは、裏をよく見るとアバディンエレクトロニクス製だった。まだ動作はするようだが、デジモンは格納されていない。
「懐かしいな……ああ、いろいろ思いだしてきた」
子供時代を振りかえる。
レオンは「市販されていない携帯ゲーム」で、なにかの育成にのめりこんだ。
レオンは受験もあったし、当然、中学校はエイジとは違った。そのまま疎遠になって……。
その後、ほどなくレオンがアメリカに帰国したことまでは、親から聞いたのだ。
「わりと急だったんだ」父親のキャリアにかかわる、それ自体はすばらしいできごとだったようだ。「アメリカに帰国するとわかってたら、中学受験なんかしなかったのになぁ」
「そっか……」
当時、さびしく感じたのは確かだ。
ただ、その年ごろの友達関係なんかは、学校どころかクラス替えだけで、あっさり変わってしまうものだ。実際エイジは、いま高校時代の友達と、ろくに連絡もとっていない。
それは、そういうものなのだ。
でも、こうして偶然再会することもある。人生がふたたび、交わることが。
レオンが腕を出した。
スマートウォッチタイプのデジモンリンカー。
火花をまとったデジモンがホロライズする。まるで電気妖精。触れると感電しそうだが、これは映像だ。
「パルスモンだよ」
「うん! やっぱりレオンが育ててたの、パルスモンだったな」
小学生のときとおなじ個体だという。
エイジもデジモンリンカーで、ルガモンをホロライズした。
カフェのテーブルをはさんで、2体の成長期デジモンがむかいあう。DDLの内部では、デジモンのホロライズは許可されている。
「…………」
「…………」
先日、X国データサーバでは、直接、戦うことはなかったが……。
楽しそうにしているパルスモンに対して、ルガモンは目をふせてにらんでいた。いわゆるガンをつけるというやつだ。
(ホロライズだし、やらかすこともないか……)
デジモンのことはおいておくと、エイジとレオンは、しばらく懐かしい話をした。
親友なんて言葉、当時は意識していなかったけど。いちばん仲がいい友達はといえば、ふたりとも、たがいにたがいを上げただろう。
エイジにとってレオンは、だから、いちばん仲がよかったときの記憶のままだ。
それは、たぶんレオンも。
でも……。
人は記憶のなかだけでは生きてはいけない。老人になってからの再会ならともかく、ふたりはまだ若すぎた。
「――でもさ」エイジは本題に入った。「よく、おれの連絡先わかったな」
リアルで会おう、という話になったのは、レオン――ハッカー・ジャッジからのショートメッセージが届いたのがきっかけだ。
「引っ越したんだね。きみのもとの家、もう、なくなっていた」
エイジの実家は、すでに引き払われている。
わざわざ見に行ってはいないが、解体して、周辺とあわせてマンションになるようだ。
「あー……おれ、いま、ひとり暮らしで」
「ぼくも」
レオンは電臨区のタワーマンションに住んでいるという。
こっちは3畳ロフト付ワンルーム。
「レオっちは……」
「ぼくはハッカーだから」
どうせチャンネルSoCにも、ダミーのアカウントで出入りしているのだろう。エイジのアカウントを探してGriMMでメッセージを送るくらい、わけない。
「おまえがハッカーってだけじゃなく、日本にいて、電脳大の学生だったなんてな」
であれば自分もDDLには〝仕事〟でたまに行くので、会おうということになった。
「電脳大に留学することが、ぼくの目標だったから」
デジタルワールドとデジモンを学ぶのであれば、電脳大は世界最高峰だ。
入学するだけなら日本最難関レベルの大学というだけだが、龍泉寺研究室に所属できるのは、そのなかでもひとにぎりのはずだ。
「――と、話を聞いて2度びっくりだったね。おまえが龍泉寺教授のとこの学生だったなんて。おれも教授には世話になってたし」
エイジは、そこのところを強調した。
レオンは龍泉寺と自分との関係をざっくり話した。
――きみは、この生き物を大切に育ててくれそうだね。このドックをあげよう。
「おまえに、そのキーチェーンのドックをくれたのが龍泉寺教授だったのか……」
いろんな人の縁があるものだ。エイジは感心してしまった。
それが、いまはDDLの契約ハッカーに。龍泉寺が学会や会議で海外に行くときなど、レオンが同行することもあるのだという。
「それって弟子みたいなもんじゃ……?」
「マネージャーとかアテンダントかな。龍泉寺先生はね、いまは独身で……チケットの手配とか宿の予約とか、ひとりじゃぜんぜんできないんだ」
「あー……そういうの苦手そう」
「だろ?」
「おれはさ……龍泉寺教授と会うようになったのはここ最近なんだけど。いや、まだ数えるほどしか会ってないけど」
「知らなかったよ。きみがクラッカーとして、龍泉寺教授から仕事を請けていたなんてね……どこかでニアミスしていたはずだ」
「だな。世間って狭(せ)めーわ」
エイジはドリンクを飲んだ。
「エイジ……きみのデジモンドックも、アバディンエレクトロニクスの最新型だね」
レオンは紙カップを持ったエイジの腕を見た。
「うん、いいだろ! おまえのもおなじ……色違いか」
「そう」
「これは仕事で、龍泉寺教授から提供されたんだ。こいつ……おれのデジモンも。あ、これナイショな。テストと育成の仕事なんだ」
「このデジモンリンカーは、きみが思っている以上に重要なものだよ」
レオンの表情が、そのとき、はっきりとこわばった。
「ん?」
「AE社の機密のかたまり。これを渡されたのは、警察関係以外では、ぼくだけだと思っていた。ちょっと……くやしいかな」
冗談……ではないようだ。
レオンの言葉には棘があったから。
「…………」
「デジタルワールドの研究者が、ハッカー……ときにはクラッカーに私的な仕事の依頼をする。そのこと自体は珍しくないけど――」
「レアなデジモン集めとか、な! おれもモドキベタモンとか納品したっけ」
「ふふ……先生はベタモン好きだからね。ただね、エイジ……クラッカーなんかに依頼するなら、教え子のぼくに頼んでくれればよかったのにとは思う」
「…………」
もしかして……嫉妬された?
レオンにとって龍泉寺は、自分とデジモンをつなげてくれた恩師だ。その縁はエイジよりはるかに古い。
レオンは龍泉寺の信奉者……熱烈なファン。
それはエイジも、そうなのだが……。
「――あのとき戦っていたら? そりゃ、おいらが勝ったさ」
「なんだと、この静電気野郎……!」
エイジがリアクションに困っていると、となりでおおきな声が上がった。
「だって、おいらは究極体までいけるんだぜ……? きみは、ルガモン? へぇ、まだ成熟期が精いっぱいなんだー、かわいいなぁ」
「この……!」
2体は、しばらく勝手に話していたようだが……戦ったらどっちが強いかでモメはじめたらしい。
「やめとけよー、ルガモン。おまえの性格……番長、ボス気質はわかってるけどさ。さすがに究極体相手にタイマンじゃ勝負にならないぞ」
「エイジ! おまえ、くやしくないのか!」
ルガモンはガーっと毛を逆立てた。
レオンとパルスモン=カヅチモンのコンビは、エイジの思うところハッカーとして世界屈指のはず。エイジがA級ならS級、SS級ってやつだ。
「パルスモンも、なかよくしなよ」
「だってさレオン、ルガモンって、いちいちつっかかってくるんだもん!」
パルスモンは、おいらはわるくないよー、と人を食ったような態度だ。
「ぼくとエイジは友達だったんだよ。エイジはよく、弱虫だったぼくをかばってくれたなー……」
女の子みたいな外見、無口な性格のためにクラスで存在が浮きやすかったレオンを、エイジはよくフォローしていた。
「んー……その、人間がよくいうトモダチっていうの? よくわからないんだよねー。上下関係ならともかく……どう、ルガモンは?」
「おれもよくわかんねーな。どっちが強いか以外に、なにがあるんだ? ♂と♀のことは、むしろ興味あるけど」
「そうそう、人間という種の発展に必要なことだしねー」
デジモンたちは独特の価値観を披露した。
「レオっちは、弱虫というかマイペースなだけだったろ」
エイジが言った。
「ん」
「おれ、おまえが泣いたとことか見たことないぞ」
そのことは、はっきり覚えていた。レオンは弱虫ではなかった。
「…………。そうか、そうかもね」レオンはうなずいた。「そんなふうに、ぼくのことをわかって接してくれたの、父さん以外では、たぶんエイジだけだった。だから、ぼくはきみが好きだったんだ」
「お?」
「パルスモン……だから、どっちが強いか弱いかじゃなくて。強いほうが弱いほうを守ってあげないと」
「おう、そうだぞルガモン!」
「エイジ……おまえ、いま、ものすごく下に見られたのわかってんのか……?」
「え? そうなの」
――ナニコレカワイイ!
声が上がった。
見ると……DDLの受付の初音と、その同僚らしき女性がやってきた。声を上げたのはツレのほうだ。
「初音っち?」
「こんにちはエイジさん。今日はレオンさんといっしょなんですね……お知りあい? やっぱり龍泉寺教授の関係?」
「ああ、レオンとおれは……」
「小学校の同級生なんだ」
レオンが初音に答えた。
「え……エイジさんって帰国子女?」
「いや、レオンが日本にいたの」
「へー、だからレオンさんの日本語、ネイティブみたいなんですね」
初音が納得した。
もうひとりの彼女は、もの珍しそうにルガモンとパルスモンをのぞきこんでいる。
彼女は最近DDLに配属されたのだという。初音の後輩だ。明るいセミロングの髪を、手のこんだ編みこみのスタイルにしている。ホロライズしたデジモンを間近で見るのは、初めてのようだが。
「これはこれは、お美しいお嬢さん」
「なんだ、ねーちゃん? おれに興味があるのか?」
パルスモンはうやうやしく礼を返し、ルガモンはまんざらでもない感じになる。
「はいはいルガモン、セクハラはだめだよ~」
エイジは釘を刺した。
「あぁ? なんだ、エイジ」
「どもー! デジモンに興味あるのかな」
エイジはルガモンとなかよしをアピールした。
「えー、興味っていうかー」
「こちらは永住瑛士さん。龍泉寺教授と懇意にしている……出入りの業者さん。レオンさんはもう知っていたかしら? うちと契約しているハッカー」
初音が、いろいろ気を使いながら後輩にふたりを紹介した。
「ハッカー! すごい!」
DDLの契約ハッカーともなると、業界ではトップクラスということだ。
「ねんのため言っておくと、このふたりは19歳だからねー。あなたより年下だから」
初音も釘を刺した。
「え……若い!」
「セクハラはだめよ~」
後輩ちゃんは、さっきからレオンばかりをチラチラ見て、わかりやすく意識していた。じつはデジモンは話のきっかけで、どうでもいいらしい。
――この痛ましい大被害は、犯罪者クラッカーのネットワーク攻撃の結果であり、当然、われわれは怒りとともに報復するだろう。
カフェの天井に吊られた大型モニタで、例のX国についてのネットニュースが流れた。
みな、そちらに視線をやる。
「またクラッカーの犯罪なんですね」
後輩ちゃんがぷんすか憤慨した。
DDLの関係者であっても、彼女のような一般職の場合、デジタルワールドの裏事情やデジモン犯罪について真実に触れる機会はあまりない。ホロライズしたデジモンを見たことくらいはあっても、そのあたりの認識は一般人とそう大差なかった。 X国データサーバにおける、国家機密級デジモン・ムゲンドラモンをめぐるSoCと独裁者の戦い、ハッカー・ジャッジの戦いの内幕――それらはD4レベルの情報だ。
キャラクターデザイン・挿絵イラストレーター:malo