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チャンネルSoC。
武闘派クラックチーム・サンズオブケイオスのGriMMにおける活動拠点だ。
GriMMでは、基本的には、だれでも任意のチャンネルを開設できる。
SoCであれば、トップには例のクラックチーム喧伝動画があり、さまざまなコンテンツ――デジタルワールドの情報であったり、デジモンの取引やツール売買、雑談チャットなど、SoCに所属するクラッカーたちのシノギの場となっている。
ここは一種の仮想空間としても機能していて、ラウンジでは自分をアバター表示、ほかのメンバーとコミュニケーションできた。マップはさして広くないし、本格的なネットゲームと比べるとおまけ程度のグラフィックだったが。
――エイジだ!
――こいつが、うわさの!
――デジ対をやったスゴ腕ルーキーが登場だぞ!
あちこちからボイスチャットでメッセージが投げられた。
ウォールスラムで警察のデジ対とやりあった新人クラッカーのことは、ほどなくSoC全体に知れ渡っていた。
どこから話が広まったのか……。あの日のことは、担当の面接官くらいしか知らないはずだが。
(ま、おれが自作自演して広めたんだけど)
うわさの出所はエイジ自身だった。
SoCはデジタルワールドに過干渉し、結果的にデジモンを危機にさらしている。
エイジが龍泉寺から請けた仕事は、SoCのリーダー・タルタロスに接近、目的を探ることだ。
そのためにエイジは、スゴ腕クラッカーとして名前を売りこもうとしたのだ。リーダー・タルタロスが自分を無視できなくなるように。
(クラッカーネームじゃなくて、うっかり本名で広まっちゃったけど……まぁ、いいか。よくある名前だし)
エイジはいま、自宅ロフトの壁によっかかって座り、デジモンリンカーの仮想モニタでGriMMの画面を見て操作している。
SoCのラウンジは、サイバーパンク風というのか、配管をめぐらせたプラント工場都市を思わせるデザインだ。
アバター表示のエイジのそばにルガモンが表示されていた。
当然だがマインドリンクはしていない。
グラフィックの解像度がどうあれ――デジモンドックのドット画も、ホロライズも、マインドリンクしたときに見えるリアルな姿も、いまの簡易表示のアバターも、それがデジモンであることに違いはない。
「人気者だな、クラッカー・エイジは」
ルガモンが言った。
「予定どおりさ」
ルガモンの会話はエイジとのプライベートモードのみに設定した。これならルガモンの声は、GriMMのオープンチャットには流れない。
「ここのクラッカー連中が勘違いして、おまえをスゴ腕クラッカーだと思いこんだのは都合がいいな」
「実際、スゴ腕じゃん? マインドリンクができるA級クラッカーはひとにぎりなんだってさ!」
マインドリンクを満足に実行しようとすれば、AE社の研究用最新型デジモンドックに匹敵するガジェットを自前で用意しなくてはならない。それだけでもハードルが高い。
しばらくラウンジのなかを歩いた。
「…………」
「なにしてんだ? ルガモン」
画面のルガモンは……後ろ脚を上げて、そこらの鉄塔におしっこをしていた。
「ここも、おれのナワバリにする」
「見境なしにマーキングしなくていいぞ。ここはSoCのパブリックスペースだから」
「じゃあ、SoCごとおれの子分にするか」
「おれたちはスパイなんだから、目立つことはしないようにな、相棒」
チャットをプライベートモードにしておいて正解だった。なにを言いだすかわからないのだ、こいつは。
「相棒? なんだそれ」
ルガモンは首をかしげる。
「だって先輩呼びは嫌なんだろ? パートナーだっていうなら……相棒だろ!」
「…………」
と、ルガモンが鼻先を上げた。
このデジモンがなにかに気づいたときにするしぐさだ。なにかを嗅ぎつけたときの。
「――だれか、おれをサーチしてんな」
視られている、と。
自宅にいるエイジと違って、ルガモンはこのチャンネルSoCがおかれたGriMMのサーバに「いる」のだ。
「そういうの気になるの?」
「ジロジロ見られて、いい気分にはならねーな……来た、あいつだ」
ルガモンが相手をにらみつけた。
仮想空間を大柄なアバターが歩いてくる。
黒人タイプ。ぱっと見のデザインはドレッドヘアのレゲエミュージシャン。
その頭上には、大きな破れた翼をはためかせるデジモンが、蝶のようにひらひらと飛んでいた。
――エアドラモン 成熟期 幻獣型 ワクチン種
頭部とボディは東洋風の龍を思わせる姿で、手脚はない。飛龍と呼んだほうがしっくりくる。
「SoCのマーヴィンだ。初めましてクラッカー・エイジ」
気さくな感じで話しかけてくる。
「エイジだ。初めましてマーヴィン、あなたの名前は聞いている」
「メッセージは読んでくれたな」
「もちろん。ああ、こっちは相棒のルガモン」
ルガモンがまたなにかマーヴィンに言ったようだが、チャットは切ってある。
エアドラモンがギギギッ……と鳴いた。
「相棒……なるほど。きみたちはそういう関係か」
マーヴィンは感心したような反応をした。
「で、さっそくだけど用件は?」
「エイジ。記録によると、きみがチャンネルSoCに加入申請したのは、つい先日だが」
「ええ」
「過去に別名義で加入していたことは? あるいは、ほかのクラックチームに属していたとか」
「いえ。ずっとフリーでやってたんで」
ウソは言っていない。
「ほんとうに?」
「やけに疑うなぁ」
と、言いながらエイジは内心ドキドキしていた。
「昨日今日入った新人が、警察のデジ対を手玉にとるスゴ腕だった……なんて話は、ふつう眉唾ものか裏があると思うものさ」
マーヴィンが微笑を浮かべたまま言った。
「…………」
かえって警戒されてしまったか。
首尾よくSoCの幹部と接触できたのはよかったのだが。
「と……」
「とはいえ、だ。マインドリンクできる有能なクラッカーが、わざわざマヌケなことをするとも思えない。ここから先の話は、こちらで」
鉄骨と配管、蒸気をはきだすプラントを組みあげた工場の内部。
招待コードをもらって訪れたマーヴィンの〝部屋〟も、このチャンネルのサイバーパンクな世界観にそったデザインだった。
「――ここはSoCサーバ内の、おれのプライベートルームだ」
まぁどうぞ、という感じで、マーヴィンのアバターがイスに腰かける。
エイジは相手のリアルを想像した。どんな人間なのだろう……天才的なエンジニアということしかわからないが。
「マーヴィンはSoCの幹部だよね」
エイジはたずねた。
「幹部なんていう役職があるわけじゃないが、チャンネル内での権限はそうなるな」
「このGriMMをつくったエンジニアだって聞いたけど、ほんとに?」
「初期の主要なプロジェクトメンバーのひとりではあった。そして、そういうやつは大勢いる。コードを数行ばかり手伝っただけで、自称GriMMをつくった男……みたいなのは」
GriMMは、有志のクラッカーによるマルチアプリがベースになっているという。
「ならデジモンのツールとかも、ぜんぶ自作なんだ」
「ツールをつくってさばくのが本業だよ。オーダーがあるならリクエストをくれればいい。ご新規様にはサービスしとくぞ」
エアドラモンは工場のキャットウォークに尻尾を巻きつけて、止まり木にしている。
ルガモンは興味をひかれるものでもあるのか、クンクンあたりをかぎまわっていた。
「――さて、本題だ。エイジ、われわれSoCは大規模な作戦を控えている。だが必要な人数が足りていない」
さっそく、きた。
龍泉寺が言っていたSoCの大規模な活動というやつだ。
「人数……? SoCのメンバー、たくさんいるでしょ?」
エイジは素知らぬふりをした。
「メンバーだけなら掃いて捨てるほどいるが……必要としているのはマインドリンク可能な、警察の基準でいえばA級以上のクラッカーだ。そこへきみが現れた、エイジ」
「いいよ。やる」
エイジは答えた。
「即答か……それが、どれほど危険なミッションであるかもわかっているだろうに」
マーヴィンは息をついた。
(…………)
エイジは自分の仕事――SoCのスパイのことばかりが頭にあって、作戦自体のことには、あまり考えが及んでいなかった。
「キケン……ああ、危険……そんなに?」
ちょっと不安になって確認する。
「デジ対に、ひとりでケンカをふっかけて勝つだけのことはあるな」
マーヴィンはすっかり感心してしまった。
SoCの幹部である彼でさえ、エイジに対して、こうして常に敬意を忘れずに接してくる。
マインドリンクは、これほどまでにクラッカーの格を決めてしまうのだった。マインドリンク自体のパフォーマンスはもちろん、まわりへの影響力という意味でも。
「えーと……まずかった? かな?」
エイジはいろいろ不安になってきた。
「11係のコマンドラモン分隊を蹴ちらして、副班長のデジモンを行動停止にしたんだろう? やりすぎだ。拘置期限までブタ箱にほうりこまれるくらいのことはした」
「うーん」
デジモンは法的には警察備品のはずだ。器物損壊罪とか公務執行妨害を問われたら、言い逃れはむずかしそうだ。
「警察のメンツをへし折っちゃったし、サツキちゃんも怒ってたしな……」
「まぁ、そんなヘタなど打たないからこそ、警察相手に大立ちまわりもできるんだろう」
マーヴィンはずっと感心しっぱなしだ。
まさか本名を副班長のサツキに教えちゃったとか、とても笑いのネタにできる感じではない。
「その大規模な活動……大作戦? リーダー・タルタロスは参加するんだよね?」
エイジとしては、とにかくタルタロスの件が肝心だった。
「リーダーが気になるのか?」
「そりゃ……なるでしょ! 伝説のクラッカーだし、おれがSoCに興味があるのはタルタロスに興味があるからだし。なぁ、ルガモン」
ルガモンは――
「バウ!」
犬みたいな声でほえると、工場内のすみからすみへとダッシュする。
エアドラモンが尻尾でなにかをほうり投げた。それを取りに行って、くわえて戻ってくる。
「ボール……?」
エイジはきょとんとした。
「ルガモン……警戒心の強いデジモンのようだが、よくトレーニングしてあるな」
マーヴィンは立ちあがると、ルガモンに歩み寄った。
「あー……そいつ、おれ以外の人間と接したことあまりないから。あと、犬じゃなくて狼だから」
エイジは心配になった。
ルガモンは、なんだこの野郎。ボールはやらんぞという感じで、敵意丸だしでマーヴィンを見かえす。
「よーし、いいコだ、そら!」
マーヴィンもなにかを投げた。なにかのデータを。
エサの骨だ。
「バウ!」
ルガモンはほえると、エサ骨めがけてまっしぐらだ。
「狼のくせに犬っぽいじゃねーか……! てゆーか、おれにはそんな反応しないくせに!」
エイジは、ちょっとマーヴィンに嫉妬してしまった。
「リーダー・タルタロスは、めったに姿を見せない」
ふいにマーヴィンが言った。
「? え……」
「われわれ幹部にとっても謎の人だよ。だが今回、作戦の指揮を執るのは、もちろんタルタロスだ」
そう言ってマーヴィンは、あらたな招待コードをエイジに送った。
――『∞』作戦。
オペレーション・インフィニティ。
それが今回の作戦名らしい。
「作戦用チャンネルだ。ファイルは共有しておく。決行は明日、日本時間**:**……詳細は現地で」
情報漏洩を防ぐためだ。
いま、わかるのは作戦名と集合時間、場所はこのマーヴィンの部屋だ。
「…………」
「言うまでもなくマインドリンクは必須だ。もし必要なものがあるなら融通するが」
「なら! お言葉に甘えて……あとでメッセージ送りますね」
エイジは、ここぞとばかり好意に甘えた。
SoCほどの組織になれば、GriMMの活動でもかなりの利益を上げているはず。領収書を切らなくても経費は使い放題だ。
「よろしく頼む」
「それじゃ、また」
「ああ、そうだ。もうひとつ」
部屋から退出しようとしたエイジとルガモンを、マーヴィンが呼びとめた。
「――〝黒いアグモン〟を知らないか?」
マーヴィンがたずねた。
「知らない」答えてからエイジは言い直した。「けど、黒いアグモンを探しているやつがいることは知ってる」
「黒いアグモンに報奨金をかけているのは、うち……SoCなんだ」
「え……? あの、1億DC!?」
意外だった。
マーヴィンはアバターで腕組みのモーションをする。
「金の出所はリーダーのポケットマネーでな。あの人は……タルタロスは、ずっと黒いアグモンを探しているんだ」…………
キャラクターデザイン・挿絵イラストレーター:malo