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ウォールスラム9番街。
階段をあがって地下鉄出口に立ったエイジは、まわれ右してひきかえしたくなった。
「なんだここ……外国? スラム街? やばいじゃん命が危険だよ!」
空気が煤けていた。
最初の廃ビルもなかなかだったが、ここは……それ以上。もし観光ガイドに載っていたら「地球最悪の治安」「ぜったいにちかづかないこと」などと書かれていそうだ。
「…………」
「なんていうんだっけ、こういうの……九龍城? 昭和の歌舞伎町?」
違法建築の谷底から街区を見あげる。
かつて返還まえの香港に存在した九龍城の貧民窟――無政府状態だった土地に、不法移民によって野放図に建てられたスラム街。あるいは昭和の新宿・歌舞伎町、飲食店や風俗店、ホテルなどのネオン看板がかがやく眠らない不夜城。
魔窟、というやつだ。
「ウォールスラムは、リアルワールドとデジタルワールドの境界だ。つねにネットワークを介してリアルの情報がながれこみつづけている。そうして変化する。1日として、すべておなじ状態ではありえない」
「ルガモン……」
「なんだ」
「おまえ、もしかして頭いいのか!」
エイジは目をかがやかせた。
「デジモンは頭いいんだよ」
「むずかしいことは、これからルガモンにたのもうかな。なぁ、先輩ってよんでいい?」
「やめろ」
「おれ、ルガモン、だ~い好き! だって、たよりになるんだもん」
エイジは、もし尻尾が生えていたらフリフリするいきおいだ。
「そんなだから飼い犬にも下に見られたんだ、おまえは……さっさと仕事をすませるぞ」
ルガモンに尻をたたかれて、エイジは仮想モニタでツールを起動した。
マッピングを開始する。
あとは……地図をぬりつぶしていく感覚で歩けばいいはずだ。
「この魔窟をマッピングか……」
9番街のことを言葉で説明しようとすれば、イメージがつたわりきらず頭がどうにかなってしまう。
まっすぐな道などない。
路地は、建物と建物のあいだの隙間でしかなかった。道幅も方向もめちゃくちゃ、都市計画なんてものはされていない。建築基準法にもとづく建坪率、斜線制限、耐震基準、そのほかの法的規制はいっさいない。
つけくわえるなら、ここには建築力学すら存在しなかった。
構造計算、あらゆる安全性を無視した街は、リアルの――まともな人間の感覚をもちこめば、そこにいるだけで心が不安になり、2秒後の〝崩壊〟のイメージのなかをいつまでも歩かされることになる。
ネジ1本でぶらさがった看板が落ちれば、あそこの鉄骨が折れて、ドミノ倒しのように、あたりのビルすべてが倒壊するのではないか……。
エイジはマップを確認しながら歩いた。
「デジモンはいるみたいだな。かくれてるけど」
路地のあちこちから視線は感じるのだが。
「9番街……ここはウォールスラムでも治安は最悪。50メートル歩くあいだに、よそ者は身ぐるみはがされて、100メートル歩くころには命もなくなっている」
「怖いんですけど」
「目的地は9番街の中心――九狼城だとさ」
エイジとルガモンは作業をつづけた。
結果的に、やや拍子抜けだったが、じゃまされることなくマッピングをすすめることができた。
なにしろデジモンの姿を見かけない。まるで、もぬけのカラだ。
ルガモンによれば、気配はするというのだが……。
袋小路。
オーバーハングしたボロいビルにかこまれた小広場に、瓦屋根の建物があった。
城というよりは、中華街にあるような廟といった感じだ。
「あれが九狼城……? あそこと、その先もマッピングしないと」
エイジは廟に歩いた。
「…………」
ルガモンが足をとめる。
「どうした、ルガモン?」
先に行っていたエイジだったが、ホロライズ中なのであまりとおくには行けない。
「ここは、おれのナワバリだ。……ナワバリだった」
「…………? なにか思いだしたの?」
「かすかだが臭いがする。おれが残したマーキング……だが、これはおれであって、おれじゃない。もっと、はるかにつよい……!」
「それって……もしかして!」エイジは思いついた。「進化したおまえってことか!?」
「…………! なにか、くるぞ」
ルガモンは鼻先をビルの狭間のせまい空にむけた。
バババババババ…………!
轟音。
風が暴れた。轟音が地面を叩き、あたりのゴミデータを吹き飛ばしていく。
エイジはたまらず膝をつく。ルガモンは脚を踏んばる。
「なんだ、なにが来た……!?」
翼ある影が、九狼城の空を影でおおった。
まきあがる土埃に思わず目をとじたあと、エイジは手をかざして薄目で空をあおいだ。
「鳥……? ドラゴン?」
「いや、ちがう……あれは!」
両翼にエンジンがついていた。
垂直離着陸が可能なティルトローター機をベースにした、マシーン型のデジモンだ。
――カーゴドラモン 完全体 マシーン型 ウィルス種
機体には、犯罪者を威圧する「POLICE」の文字が。
「デジ対だ!」
エイジはさけんだ。
「警察だと? なんでウォールスラムの、こんなところに」
ホバリングするカーゴドラモンから、デジ対のデジモンがファストロープで降下する。
コマンドラモンだ。
ヘリボーンした分隊が展開、たちまち拠点を確保した。
アラート。
警告音に、エイジは仮想モニタのマップを見た。
九狼城周辺にコマンドラモンをしめすマーカーが表示される。包囲されつつあった。
「GriMMのチャンネルに……ボイスチャットに開放要求!?」
エイジは声をあげた。
作戦チャンネルに警察から警告が入った。
GriMMは特定企業に属したサービスではない。応じなくても、それだけで即、犯罪行為にはならないだろうが……国家権力に反抗的な態度をとったということにはなる。
「どうするんだ」
「どうするもこうするも、この作戦チャンネルの管理者は、あの面接官だしな……」
エイジにはチャットを開放する権限がないのだ。
――てやんでぇ! シカトぶっこいてんじゃねぇぞ、この、くそクラッカー!
ドン!
上空のカーゴドラモンから、すっとんきょうな声が投げられた。
声の圧。
キンキンひびくアニメ声だ。それが、マインドリンクしたエイジの聴覚に、じかにひびいた。
キャラクターデザイン・挿絵イラストレーター:malo