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2020/05/28
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Vジャンプ7月特大号「デジモンアドベンチャー Vテイマー01」特別読切掲載記念!マンガ家 やぶのてんや先生×脚本家 冨岡淳広さんスペシャル対談!―VER. デジモンウェブ―

読切マンガビジュアル

好評発売中の「Vジャンプ7月特大号」にて、「デジモンアドベンチャー Vテイマー01」の読切マンガが掲載!
「デジモンアドベンチャー: 」の主人公・八神太一が登場する、コラボストーリーだ。
これを記念してやぶのてんや先生と冨岡淳広さんが対談し、マンガ制作の裏側やアニメ秘話をお話してくれたぞ!

■ プロフィール

やぶのてんや: マンガ家。1999年からVジャンプで「デジモンアドベンチャー Vテイマー01」を連載。
代表作に「イナズマイレブン」「ボッチわいわい岬へ」など。

冨岡淳広: 脚本家。2020年4月から放送開始した「デジモンアドベンチャー: 」のシリーズ構成を担当。
代表作に「ドラゴンボール超」、「ポケットモンスター」シリーズ、「イナズマイレブン」シリーズなど。

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――冨岡さんは「シリーズ構成」という肩書ですが、どのような役割なのでしょうか?
冨岡: この質問いつも困るんですよね(笑)。ドラマの世界でもないシステムなのでピンとこないでしょうし。シリーズ構成とは、色々な方の意向を聞きながらシリーズ全体のストーリーの流れや、キャラクターの動きを文章で設計する役割です。もちろん自分でもシナリオを書いて、物語の盛り上がりを作り込んでいきます。「デジモンアドベンチャー: 」は1年間放送する長いシリーズですので、5人で分担して書いています。それぞれの脚本家さんが「こんなキャラにこんな芝居させたらどうだろう?」と出したアイデアは、私のスタンスとして否定しないようにしています。そこから監督やプロデューサーさんの意向でさらにアイデアが発展していくので、そういうのを大事にしています。私の仕事は、物語の広がりを積極的に面白がることですね(笑)。
やぶの: ストーリー全体を俯瞰してみるのは、シリーズ構成の役割でしょうか?
冨岡: そうですね。ですが、シナリオから「絵」を作る観点で、監督の判断が必要になってきます。作画の物量や、キャラの演出、主人公の感情の動きなど、監督のイメージを聞いてすり合わせながら、シナリオを作り上げていきます。つまりシナリオは、監督にプロデューサー、その話の担当の脚本家さんなど多くの人のアイデアの塊なんですよ。シリーズ構成は皆さんをノセてアイデアを引き出すのが仕事なので、会議が終わったあとは非常に疲れます。
やぶの: 凄くエネルギーを消費しているんですね。
――やぶの先生も「Vテイマー01」連載時は、原作の井沢ひろしさんとお二人で作業をされていたと思うのですが、どのように作られていったのでしょうか?
やぶの: 「Vテイマー01」連載時は、打ち合わせの頻度が多く、月に3回は打ち合わせをしていました。次はどんな話にするかの会、できた脚本に対して意見を言う会、マンガのネームに対しての意見を言う会。担当編集含めて3人で顔を突き合わせ、何時間も会議をして作っていたので、他のマンガよりも労力をかけて作っていたと思います。少人数でしたが、チーム感がありました。
――やぶのさんは、「デジモンアドベンチャー:」をご覧になられていかがでしたか?
やぶの: 今作はたくさんオマージュが散りばめられていて、冨岡さんは色々知っていらっしゃるなと思いながら見ていました。資料の読み込みなど、どのように情報収集されているのか気になりました。
冨岡: プロデューサーや監督が、旧作をよく知ってらっしゃるので(笑)。私はどちらかというと、「新しいデジモンアドベンチャー」、というスタンスで作っています。キャラクターは同じでも、よりネットが身近になった現代を舞台にし、現代ではどのような事件が起こると大変かを考え、旧シリーズにはなかった要素を盛り込んでいます。さらにバトルの要素を強化したいというオーダーもありました。ですので、資料を読んで情報を取り込むというよりは、旧作の情報をリスペクトしながらも、新しい作品を作る方に注力しています。
やぶの: 今作もそうですが、冨岡さんの名前をいろいろなアニメで活躍されているので、以前は複数名の方が使用するペンネームかと思ってたんですよ(笑)。
冨岡: いやいや、一人ぼっちです(笑)。シリーズとしての制作ですから、プロデューサーや監督、他の脚本家さんがいるからこそできています。脚本って文章だけですから、スケールの大きな場面にしたいなと、と思うと極端な話「大軍勢が飛来する」などの一行、しれっと書いちゃいます。絵を描く人にとっては「おい!」ってなるので、監督さんが調整を入れたりします。だからマンガ家さんはすごい! 1人で絵を描いて、カッコよく演出されていくわけですから。
やぶの: それに関しては、ここに井沢さんがいてほしいですね。井沢さんと初めてデジモンの打ち合わせをした時、研究所のオープニングシーンで「何千体ものデジモンが並んでいる」とあって。「何千体って誰が描くんですか?」って思わず聞き返しちゃいました(笑)。
冨岡: 脚本あるあるですね。シナリオライターは、ハリウッド映画によくあるような地平線を覆うような大軍が大好きなんですよ。ああいうのを、やりたくてしょうがないんです(笑)。
――やぶのてんや先生は、コラボマンガの新太一は描きやすかったでしょうか?
やぶの: そうですね、動かしやすかったです。アグモンがゼロマルの頭に乗ったりと、コンビプレイというのが今回のチャレンジのひとつです。あと連載最初から意識していたことではありますが、デジモンを「戦わせる」のではなく「戦いたいデジモンを応援する」 という、ボクサーとセコンドのような関係性で、ゼロマルと太一を描いていくよう心がけ ました。
冨岡: マンガを読んで、伝わってきました。考える太一と、実際に動くゼロマルで、バディ感が強いですよね。「デジモンアドベンチャー: 」も2人で1人みたいなイメージで作っているので、4話目以降の戦いでもそのようなシーンがどんどん出てくるはずです。
やぶの: 最初の打ち合わせ時にボルケーノ太田さん(※注)が、「人馬一体」というワードをおっしゃっていたのが、印象に残っていました。その言葉から、「Vテイマー01」中盤の見せ場は、太一がゼロマルに乗って戦うようにしようと決めたんです。
冨岡: 「Vテイマー01」4巻の表紙が、まさにゼロマルに乗っている太一でしたよね。この表紙の絵をずっと意識していまして、グレイモンだったらどこに乗るかな?と思いながら、「乗っている」とペロッと一行書いて、監督にお任せしました(笑)。実際に絵ができて、「ここに乗ったんだ!」と感心した覚えがあります。「Vテイマー01」をリスペクトして、アクションなど色々なところをヒントにさせてもらっています。

「Vテイマー01」4巻の表紙

やぶの: なんか、本当に嬉しすぎますね。コミカライズはどうしてもパラレルで、アニメの脇にいる存在という感じがありました。それがこのような形で、冨岡さんからフィードバックして頂けるのは、本当にありがたいです。
冨岡: それはもう、良いと思ったモノは取り込むスタイルですので(笑)。
――アニメで期待しているところ、楽しみにしているところを教えて下さい。
やぶの: 3話でいきなりオメガモンが大暴れしたので、今後オメガモンを超えるデジモンが登場するかが楽しみです。

アニメカット

冨岡: 新太一の造形を「Vテイマー01」を参考にしていますが、実は物語でも意識をしています。エンジェモンという存在を、ストーリーの構成を立てる上で、参考にさせてもらっているんです。そして、今後の展開ではデジタルワールドでの冒険が始まり、次々仲間が揃っていき、課されたミッションをクリアしてくところが見どころです。

アニメカット

やぶの: マンガでは、本来の放映に合わせて、5人が揃っているように描いてしまっていました(笑)。
冨岡: 本来なら、アニメの放送もそのあたりまで進んでいるはずでしたね…。旧シリーズとは違う旅が始まっているので、新しいファンにはもちろん、かつてのシリーズを見ていた方にも、今回はこういう解釈で進んでいるんだという驚きを、毎回楽しんでもらえたらと思います。
やぶの: とっても楽しみです!
冨岡: オメガモンの登場シーンには、タケルとヒカリがちょろっと絡んでいたりして、伏線というか、今後の展開に繋がる仕掛けを盛り込んでいます。
やぶの: スピード感があるので、2回3回見ると新しい発見があるかもしれませんね。
冨岡: そうですね。なので、オンタイムで見るときは、勢いで「カッコいい!」と楽しく見ていただき、見逃し配信などで見返して今後の展開への仕込みなどを発見してもらい、物語を予想して楽しんでもらえれば。我々シナリオチームも、完成した映像をヒントにしてさらにアイデアを広げていっています。制作チームも楽しんで作っていますので、皆さんも楽しんでもらえれば嬉しいです。
――ありがとうございました!

八神太一のキャラについて深堀りして聞いた「VER.VジャンプWEB」も、併せてチェックだ!
http://vjump.shueisha.co.jp/


※注 … 1998年頃から株式会社バンダイでデジモン担当をしていた。現在は青二プロダクションに所属し、声優として活動している。

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